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和のイメージが強い寒天ですが、ぷるぷるのゼリーが作れるのか、レアチーズケーキのような洋菓子に使っても大丈夫なのか…とても気になりますよね。
私も長年お菓子作りをしてきましたが、ゼラチンを寒天で代用したことがなかったので、調べてみました。
結論から言うと、ゼラチンは寒天で代用できます!
もちろん、ゼリーだけではなく他のゼラチンを使ったお菓子でも大丈夫。
なぜならゼラチンと寒天は、液体を固めるという共通点があるからです。
しかしここで注意したいのが、ゼラチンと寒天は元の材料が違うので、使い方や分量、食感が大きく違うというところです。
そこで、この記事では
- ゼラチンを寒天で代用するときに注意する3つのこと
- 実際に寒天で代用したときの分量の目安とコツ
- 寒天のよくある失敗の原因と解決策
などを解説しています。
これを読んだあなたは、ゼラチンと寒天を上手に使いこなし、ワンランク上のお菓子作りができるようになるでしょう。
ゼラチンは寒天で代用できるが3つの違いに注意!
ゼラチンも寒天も液体を固める力があるという共通点があるので代用できます。
しかし、代用するときには以下の3点に注意しましょう。
- 使う量が違う
- 溶ける温度が違う
- 食感に違いがある
注意点①:使う量が違う
その理由は、ゼラチンより寒天の方が固める力が大きいからです。
500㏄の液体を固めるのに必要な量は
ゼラチン | 500㏄に対して10g |
---|---|
寒天 | 500㏄に対して4g |
このように、寒天はゼラチンの半分以下の量で固まるので、ゼラチンと同じ分量の寒天と使ってしまうとガッチガチに固まってしまいます。
代用するときはゼラチンの分量ではなく、全体の水分量に対して寒天の分量を決めるようにします。
出来上がりの固さ | 寒天濃度 | 目安 |
しっかり | 水分の0.8% | 500㏄に対して4g |
ぷるぷる | 水分の0.5% | 500㏄に対して2.5g |
ふるふる | 水分の0.3% | 500㏄に対して1.5g |
ゆるゆる | 水分の0.2% | 500㏄に対して1g |
計算は、%のボタンを使って水分量に掛ければOK。

寒天の種類と使用量
粉寒天4g=棒寒天1本(約8g)=糸寒天24~26本(約8g)

引用元:松本寒天産業(株)HP
寒天には粉寒天のほかに、棒状の棒寒天や糸状の糸寒天があり、どの種類でもゼラチンの代用として使えます。
粉寒天は1袋4gで売られていることが多いので、寒天は1本8gになっているそうです。
しかし、最近では半分の長さの棒寒天もあるので、グラム数をよく確認してから使いましょう。
また、粉寒天はそのまま水に入れて使えますが、棒寒天と糸寒天は使う前に処理が必要です。
注意点②:溶ける温度が違う
その理由は、ゼラチンは動物性、寒天は植物性の材料で出来ているからです。
液体が固まる仕組みは、
- ゼラチンや寒天の成分が、熱によって分解される→溶ける
- 分解された成分が、冷めるときに再結成する→固まる
しっかり固めるためには、適した温度で溶かすことが大切です。
ゼラチン | 寒天 | |
原材料 | 動物の皮膚や骨、腱など | テングサ、オゴノリなどの海藻類 |
溶ける温度 | 60~80℃ | 95℃以上 |
固まる温度 | 20℃以下(冷蔵庫で冷やす) | 40℃以下(常温で固まる) |
寒天の主成分は食物繊維なので、しっかり加熱して溶かさないと、固まらない(再結成できない)のです。
また、沸騰したからといって、すぐに火を止めてしまうのはNG!
小さな泡がキープできるくらいまで火を弱め、ゆっくり優しくかき混ぜながら2-3分煮溶かします。
泡立て器ではなく、木ベラやゴムベラなどで鍋底からかき混ぜるようにしましょう。
注意点③:食感に違いがある
ゼラチンと寒天は、主成分の性質が違うため食感に違いがでます。
ゼラチン | 寒天 | |
主成分 | 動物性タンパク質 | 植物性食物繊維 |
食感 | ぷるぷる、モチモチ | さっくり、ほろほろ |
くちどけ | 口の中で溶ける | 口の中では溶けない |
寒天は植物性食物繊維なので、かっちり固まりますが粘り気がないため、口の中でホロホロと崩れます。
ゼラチンが「ねっとり濃厚でくちどけ滑らか」だとすれば、寒天は「あっさり、スッキリ、のど越しがいい」といった感じ。
寒天を使う分量である程度の固さの調整はできますが、ゼラチンのようなぷるぷる、モチっとした食感はなかなか再現できません。
【実践編】寒天で代用するときの分量の目安とコツ
ゼリー

寒天の濃度で柔らかさ、食感の調整ができます。
寒天濃度 | 出来上がりの固さ、食感 |
---|---|
0.8% | みつ豆の寒天と同じ固さ、しゃりしゃりした歯ごたえ |
0.5% | ぷるぷる感はないけれど、口の中でホロっと崩れる |
0.3% | ふるふるっと表面が波打つ感じ、舌で粉々に崩れる |
0.2% | ゆらゆら揺れる、噛まずに飲めるくらいの柔らかさ |
この割合はゼリーのほか、ババロアやムース、プリンなどにも同じ割合で使えます。
- 電子レンジでは、十分に加熱できないのでNG
- 必ず沸騰させたまま2-3分煮溶かす
- 砂糖や酸味の強い物は寒天が溶けてから入れる
- ある程度固さは調整できるが弾力感と粘りはない
寒天+コーンスターチでぷるぷる感をプラス
コーンスターチとは、とうもろこしのデンプンのこと。
ゼラチンや寒天のように液体を固める力があり「ブラマンジェ」というお菓子は、牛乳と砂糖をコーンスターチだけで固めて作ります。
寒天にこのコーンスターチをチョイ足しすれば、ぷるぷる感がプラスされ寒天ゼリーが進化します。

実際に作った「ぷるもちオレンジゼリー」
- オレンジジュース:300㏄
- コーンスターチ:15g
- 寒天:1g
- 寒天を溶かす水:100㏄
- 砂糖:大さじ1と1/2
- コーンスターチは沸騰してもすぐ火が通らないので、寒天と一緒に混ぜながら2-3分煮溶かすと、なめらかになる
- 火の通りが不十分だと、ザラザラ・粉感が口に残る
- 透明感がなくなってしまう
参考にしたレシピ
寒天で*やわらかプリン by ぷりぷりぷりん
液体以外の水分の割合
液体以外の材料(ヨーグルトやクリームチーズなど)を加える時は以下の割合で計算します。
果汁、牛乳、コーヒー | 100% |
ピューレ、ヨーグルト | 100% |
卵白 | 100% |
クリームチーズ、生クリーム | 60% |
固形物(チョコレート、小豆など)や卵黄の重さは、計算には入れません。
レアチーズケーキ

色々なレシピを調査した結果、レアチーズケーキの寒天濃度0.5-0.8%で作られています。
ヨーグルトが入れるときは、ヨーグルトを水分量に加えて0.5-0.8%になるように計算しましょう。
実際に作った「寒天レアチーズケーキ」
クリームチーズ | 200g×0.6 |
---|---|
生クリーム | 200g×0.6 |
レモン汁 | 15㏄ |
寒天を溶かす水 | 100㏄ |
水分合計 | 355㏄ |
寒天:寒天濃度 | 2g:約0.6% |
砂糖 | 50g |
- 牛乳をぐつぐつさせ過ぎると分離するので弱火で沸騰させる
- 生クリームは常温が軽く温めてから混ぜる
- クリームチーズを混ぜたら、固まり始めてしまうので手早く型に流す
参考にしたレシピ
なめらかレアチーズケーキ by ティモクー料理
ババロア

寒天濃度0.5%で作ってみましたが、丁度いい感じの固さに仕上がりました。
実際に作った「黄桃のババロア」
桜桃缶詰 | 150g(ピューレ) |
---|---|
牛乳 | 100㏄ |
生クリーム | 75㏄×0.6 |
レモン汁 | 10㏄ |
水分量 | 305㏄ |
寒天:寒天濃度 | 1.5g:0.5% |
卵黄 | 1個分 |
砂糖 | 45g |
- 寒天は牛乳100㏄で煮溶かして、卵黄+砂糖の中に加える
- 桃のピューレは常温かすこし温めておく
- 氷水を充てると固まりまじめるので、そのまま冷ますだけでOK
参考にしたレシピ白桃のババロア引用元:明治HP
寒天のよくある失敗の原因と解決策
寒天は常温で簡単に固まるので、初心者の人にも扱いやすいアイテムです。
しかし、簡単なはずなのになぜか失敗する…というお悩みを持っている人も多くいます。
そこで、よくある失敗の原因と解決策について解説します。
固まらない
考えられる原因
- 寒天が均一に溶けていない
- 酸味の強いものと一緒に使った
- 寒天の量が少ない
寒天が均一に溶けていない
初めからジュースや牛乳で溶かしてしまうと、乳脂肪分などの不純物が多いので均一に溶けないことがあります。
少量のお湯で溶かしてから入れると、溶け残りが少なくなります。
また、寒天は下に溜まりやすいので、泡立て器ではキレイに混ざりません。
木ベラやゴムベラで、鍋底をこするように絶えず混ぜま続けるのがポイントです。
酸味の強いものと一緒に使った
寒天は強い酸に弱いので、酸味の強いものと一緒に煮てしまうと、寒天の固まる力が弱まってしまいます。
酸っぱい果汁や果物を使いたい場合は、粗熱を取ってから手早く混ぜ合わせると酸の影響が少なくなります。
寒天の量が少ない
同じ寒天でも、商品によって固める力が違います。
レシピで使っている寒天と自分が使う寒天では使用量が違うことがあるので、必ずパッケージに書いてある説明書きを確認してから使いましょう。
分離してしまった
考えられる原因
- 熱いまま容器に入れた
- 冷たい液体を加えた
- 寒天がうまく混ざってない
熱いまま容器に入れた
熱いままだと上に透明な寒天液が上がり、比重の重い成分が下に溜まるので、分離しています。
和菓子屋さんでも水羊羹を作るときには、粗熱を取ってトロミが少し付いてから型に流すそうです。
粗熱がとれる=湯気が出なくなるくらいまでかき混ぜ続けてから型に流して固めれば分離しません。
冷たい液体を加えた
冷たい液体を加えた場合も、熱い寒天液との温度差ができてしまうので分離してしまう原因になります。
必ず常温に戻した液体、または温めた液体を加えるようにしましょう。
寒天がうまく混ざってない
寒天液に残りの液体を入れるときは、少ない方に入れてしまうと対流が起こらないため、均一に混ざらず、分離してしまう原因になってしまいます。
液体の量が多い方に入れるようにしましょう。
また、濃い寒天液にシャバシャバの液体を入れると混ざりにくいので、両者の濃度を近づけてから入れると均一に混ざります。
食感が悪い

考えられる原因
- 寒天が溶ける前に砂糖を入れた
- 冷たい液体を入れた
寒天が溶ける前に砂糖をいれた
寒天が完全に溶けていない状態で砂糖を入れると、寒天がそれ以上溶けなくなってしまいます。
溶け切れなかった寒天はダマになり、口当たりが悪くなる原因になります。
砂糖は寒天が完全に溶けた後に、火を止めてから加えるようにしましょう。
冷たい液体を入れた
寒天は常温で固まる性質があります。
なので、冷たい液体を入れると、すぐに寒天が固まって塊ができてしまい、口当たりが悪くなってしまいます。
寒天液には、常温か温めた状態で加えるようにしましょう。
まとめ
代用できる。だたし次の3つに注意しましょう。
- 使う量が違う
- 溶ける温度が違う
- 食感に違いがある
NO。同じ量だと硬くなりすぎてしまうので、水分量の0.2-0.8%になるように計算して決めましょう。
粉寒天4g=棒寒天8g=糸寒天8g
NO。寒天はしっかり2-3分沸騰させないと固まりません。
寒天だけでは、ぷるぷるにはなりません。コーンスターチを混ぜるとぷるぷる感に近づけることができます。
YES。寒天濃度0.5-0.8%にするとサッパリしっとりのレアチーズケーキができます。
- 寒天が均一に溶けていない
- 酸味の強いものと一緒に使った
- 寒天の量が少ない
- 熱いまま容器に入れた
- 冷たい液体を加えた
- 寒天がうまく混ざってない
- 寒天が溶ける前に砂糖を入れた
- 冷たい液体を入れた
ゼリーやレアチーズケーキを作りたいけど寒天しかないとき、寒天で作りたいときはゼラチンの代わりに使えます。
ゼラチンのような、ぷるぷる、ねっとり感は出ませんが、コーンスターチを一緒に使うことでその食感に近づけることもできます。
細かい計算が出てきますが「お菓子作りは化学」なので、きっちり計量するのが成功のカギです。
少しでも、参考にしていただければ幸いです。